離乳期の鶏卵はアレルギーになる?ならない?
食物アレルギーは現在も患者数が増える世界的な健康問題の1つで、特に鶏卵アレルギーは最も頻度の高い原因食物となっています。
これまで原因となりやすい食品は「離乳期早期からの摂取をさけることが望ましい」と考えられていた時期もありましたが、近年では推奨されていません。近年の臨床研究から、「鶏卵の離乳期早期(4~6か月)からの摂取は、鶏卵アレルギーの発症リスクを低下させる」という結果がえられています。
ただし食物アレルギーは命にも係わります。安易に与えるのではなく、小児アレルギー疾患に精通している医師による診察を受けることが推奨されます。
(詳しくは日本小児アレルギー学会の「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」を参照)
1980年代に海外を中心に、アレルギー発症予防を目指して、一部の食品の摂取開始を遅らせる試みがされましたが、「食物アレルギー診療ガイドライン2005」では、長期的にみて推奨できるものではないことが述べられ、2008年には米国小児学会から、「離乳食を遅らせることはアレルギー疾患発症予防には有効ではない」と報告がされています。
「食物アレルギー診療ガイドライン2012、2016」でも、食物アレルギー発症予防のために、特定の食物の摂取開始時期を遅らせることは、発症リスクを低下させることにはつながらず、推奨されないことが記載されています。
離乳期早期からの摂取で鶏卵アレルギーの発症リスクを低下させるという結論は得られていても、安全かつ効果的に予防効果の得られる開始時期、摂取量や頻度、期間などにについては、現在も研究段階にあります。
すでに鶏卵アレルギーを発症している乳児に、安易に鶏卵摂取を促すことは危険な行為です。